日本赤十字社の海外救護活動とは主に災害マネジメント、保険マネジメントとなります。国際赤十字のネットワークのもと、海外で発生する地震やハリケーンなどの災害時の救護活動や、開発途上国で保健衛生状態の良くない場所の改善などの人道的活動を行っています。突発的な海外での災害救護活動に対応する体制を整えており、各活動を支える人材の育成に努めている5カ所の国際医療救援拠点病院を中心に、全国92か所の赤十字病院がグループメリットを生かして、海外での自然災害や紛争で被災した国の難民への医療救援活動、また、病院・診療所の復興支援などを行う役割も担っています。
平成25年度は延べ48人、14カ国に派遣しました。なお、赤十字ではボランティアを海外救護に派遣する事も、赤十字病院の看護師だからといって派遣する事もありません。派遣に関しては自分の意志で登録した医療従事者のみです。海外救護はまさに赤十字の国籍、人種に関わらず人道支援する精神が現れる部分でしょうし、そこに魅力を感じて救護要員になる方がいると思います。
海外救護は誰でも行く事は出来ませんし、一般のボランティア派遣はしていません。そして赤十字病院の看護師だからといって派遣される事もありません。自分の意志で海外派遣を希望した方と登録をした方だけが行くようになっています。海外救護要員に必要な資格としてまず、どの科でも実務3年以上に経験があり、語学は英語検定準1級もしくはTOEIC730点、GTEC600点以上の英語力がなくてはいけません。国際救援には語学力は重要ですが、それよりもハードな環境に耐えられる忍耐力や判断力などの人間力が問われてきます。
赤十字の各病院で、毎月の国際医療救援研修会や実務研修、語学研修があるので病院内での登録を済ませておきます。そして、国際救援・開発協力要員研修I(WORC)と国際救援・開発協力要員研修II(IMPACT)を受講してから、国際救援・開発協力要員として日本赤十字社に登録されなければなりません。看護学校の中には、国際救援学部がある場合もあり、国際救援に興味がある方は、最初から勉強しておくことができます。
日本赤十字社はさまざまな機会を通じて、国民に赤十字思想や国際人道法の普及も行っています。また災害時の国内法や政策、制度の枠組みを強化するために、政府に対して「国際的な災害救援および初期復興支援にかかる国内における準備および規則のためのガイドライン」(IDRLガイドライン)を推奨しています。またクラスター爆弾禁止など、人道分野として各種のアドボカシー(世論啓発)活動を展開していきます。